ダンス・インテリジェンス
2008年12月号

《SFの抒情詩人》レイ・ブラッドベリの短編集紹介
小説・「社交ダンスが終った夜に」
不思議な世界が展開される25編の短編集。


 アメリカのSF作家の巨匠、レイ・ブラッドベリの短編集が新潮文庫より刊行された。


 表題作「社交ダンスが終った夜に」は、社交ダンスパーティーが終ったときからはじまる。
 どうやら、このダンスパーティーの参加者は、日本とだいたい同じようで、年配の男女であるようだ。

 パーティーを終え、高揚した気分で満ちている深夜の路面電車の中で、隣の席に乗り合わせた2人の男女。時間について、身体についての感覚的な会話を重ねる2人は、本当に時間を遡ったかのように思われた。

 しかし、雲に包まれたような描写のため、この2人は、かつては...、という推測にいたるまでには、数回の読み直しを要した。この作家の他の作品も読破し、作風に慣れないと、社交ダンスをモチーフに取り上げた意味など、この作品をもっと正確に読み込むことは難しいのかも、と思う。

 とはいえ、この詩のような短編を、何度も精読を重ねることに意味があるのだろうか、との疑問もある。

 ちなみに、この1冊の中では、他に

「ドラゴン真夜中に踊る」
「夢街道いま一度」

が、スピーディーな展開が愉快で、私がブラッドベリ作品に強く感じた「印象派」的色彩も薄く、ブラッドベリ作品になじみのない者としても、わかりやすくて非常に面白かった。

(評/ダンス・インテリジェンス編集長)


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レイ・ブラッドベリ

1920年イリノイ州ウォーキーガン生まれ。47年に幻想と怪奇の短編集「黒いカーニバル」を出版、文明批評とノスタルジアに満ちたSF連作「火星年代記」で世界的名声を得た。
他に「華氏451度」「たんぽぽのお酒」「何かが道をやってくる」など。ほとんどが邦訳され親しまれている。

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